反貧困ネットワーク主催の院内集会「国会議員との対話集会 どうする日本の貧困問題」が29日開催され、立憲民主党から厚生労働部会事務局長の尾辻かな子衆院議員が参加し、党の貧困格差に関する政策について報告しました。

 同ネットワークは、わが国で広がる貧困問題を可視化・顕在化させることにより、貧困問題を社会的・政治的に解決し、人間らしい労働と保障を実現させるために、2007年10月1日、貧困問題に取り組む多様な市民団体、労働組合、法律家、学者、諸個人が集まり結成されたネットワークです。今回の集会は、貧困格差問題の解消に向けて、各政党・会派の政策ビジョンを市民と共有し、政策実現を共に進めていくこと目的に開催されました。

 尾辻議員はまず、党として9月に社会保障制度調査会を設置し、年金や介護保険制度の改革など目指す社会のあり方について議論を進めていることを紹介。「私たちは格差をできるだけなくし、生活を底上げしていく。働く方々や中小企業、声を上げられない立場の方々に寄り添い、その声に耳を傾け、その声を届けて政策を実現していきたいと考えている」と述べました。

 その上で、野党共同で昨年、母子加算の減額阻止、大学等の進学の妨げとなる世帯分離の運用改善、児童扶養手当の支給対象の拡大等を盛り込んだ生活保護法等の一部を改正する法律案」(通称「子どもの生活底上げ法案」)を提出したことや、今年夏の参院選挙の政策に掲げた政策を中心に、年金の最低保証機能の強化や住宅手当の創設、最低賃金の5年以内の1300円への引き上げ、官民の非正規雇用をできる限り正規雇用化することによるワーキングプアの解消、介護・医療・保育分野の賃金引上げ、公立小中学校の給食費無償化等の政策を報告しました。

 集会では、各政党・各派による貧困格差問題を解消するための政策ビジョンの報告がなされた上で同ネットワークの代表世話人の宇都宮健児さんから「貧困と格差の拡大問題を解決していくための課題―反貧困ネットワークからの提言―」と題する政策提言がありました。

 宇都宮さんは、「子どもの貧困は、大人の貧困である。大人の貧困は、労働の貧困であり、社会保障の貧困である。労働と社会保障の貧困は、私たちの社会の貧困である」としたうえで、貧困と格差の拡大を是正するには、(1)全国一律の最低賃金制度の確立と最低賃金制度の大幅引き上げ、非正規労働者の待遇改善と正規化促進、同一価値労働同一賃金制度の確立など「普通に働けば人間らしい生活が保障される労働政策」(2)生活保護制度の運用改善と権利性を明確にした生活保護法の改正、雇用保険・年金制度の充実、公営住宅の大量供給など「権利としての社会保障制度の確立」(3)消費増税よりも富裕層・大企業に対する課税の強化、タックスヘイブン(租税回避地)対策の強化など「公平な税制の確立と所得・富の再分配政策」――が求められていると提起しました。

 集会では各団体・市民からの提言、国会議員との対話もありました。