長妻昭代表代行は14日、参院宮城選挙区から野党統一候補として立候補した、党公認の石垣のりこさんの応援のため宮城県入り。仙台市内で開いた街頭演説会でマイクを握るとともに、地元商店街を歩行遊説し「いまの政治を変えるために石垣のりこさんに一票を」と訴えました。
地元FMラジオ局のアナウンサーとして約20年、取材や収録を通して、宮城県内各地を歩き、多くの人々の声、リスナーの皆さんから寄せられる声に耳を傾けてきた石垣さん。こうした声を政治に届けたいとの思いで今回、国政に挑戦する決意をしました。
石垣さんは、昨日街頭で出会った元リスナーから「石垣さん、もう中立の立場でなくなってしまったんですね」と声をかけられたと話し、「そういう意見も、もちろんあるだろうと思ったが、中立の立場とはどういう立場なのか。マスコミは、右でも左でも両方の意見を取り上げるが、例えば目の前にいじめられている人がいたときに、いじめる人といじめられる人の双方の気持ちを思って意見言わないことなのか。どちらの立場も分かる、では何も言わないことで中立を保とう、というのは違うのではないか」と提起。市民、国民のなかには生活が苦しい、障がいを持っている等、さまざまな課題を抱えながら、声を上げたくても上げられない人が多くいるとして、「もちろん努力は大切だが、努力だけでは貧困状態から立ち上がることができないくらい、日本はいま、すさんだ状況にあるのではないか。そうしたなか、苦しい状況にある人たちをさらに虐げるような政策が当たり前のように通ってしまっている。私はそういう社会に憤りを感じてきた。それを進める政府はもちろん、肯定してしまっている、いまの社会の空気に対しても声を上げたいと思っていた」と、今回参院選挙への挑戦を決めた思いを語りました。
その上で、「私はあくまでも、ここにお集まりの、私と意見を同じくしてくださる、思いを重ねてくださる皆さんお一人おひとりの代弁者に過ぎない。私の選挙は皆さんの選挙。私を国会に送り出してくださるということは、皆さんの意見を国会に届けることにほかならない。今回の参院選挙で宮城から全国に向けて大きな流れを作っていこう」と呼びかけました。
長妻代表代行は年金問題について、老後は2000万円の蓄えが必要だとする金融庁の審議会の報告書をめぐり「国民の不安を抑えるため」との理由で受け取りを拒否し、なきものとした麻生財務・金融担当大臣の対応を取り上げ、「受け取りを拒否知るのではなく受け取った上で今後の議論に資する追加の報告書を作るべき。こういう現実を直視しない政治、隠ぺいや改ざんが続く政治を変えなければいけないと日本中のモラルが壊れかねない」と危機感を表明しました。
政府が「100年安心」と掲げていた年金制度については、安倍総理が「100年安心は仕組みとして、それを確保する」と発言したことから、「安倍総理が言う『100年安心』は国民の老後の暮らしではなく、年金制度のこと」だと指摘。安倍政権が2016年に成立させたマクロ経済スライドの見直しにより、2021年4月以降、現役世代の賃金が低下すると、物価が上がっていても、賃金の低下に合わせて年金支給額が削られることから、年金財政が苦しくなってお小遣い程度の年金受給額では国民の暮らしは安心とは言えないと述べました。
加えて、政府は公的年金財政の健全性をチェックする5年に1度の厚生労働省の「財政検証」の公表時期を、当初の6月の予定から参院選挙後に先送りしたことを問題視。「私たちは、どんな政策でも現実を直視することからしか始まらないと申し上げている。健康診断の結果を先送りするなんておかしい」と政府の姿勢を非難しました。
年金制度改革をめぐっては、民主党政権時代に民主党、自民党、公明党による社会保障と税の一体改革の3党協議で(1)基礎年金の国庫負担割合2分の1引き上げに必要な安定財源の確保(2)厚生年金の財政基盤を強化するため公務員の年金制度である共済年金を厚生年金に統合し、厚生年金に一化(3)無年金対策として、受給資格期間を25年から10年に短縮する措置――等を決めたと説き、当時は年金の制度改革の議論を引き続き行うことを前提にしていたにもかかわらず、安倍総理はその後議論を行っていないと批判。年金制度の議論とあわせて、当時低所得者層へのセーフティーネットを強化する目的で検討された、医療や介護、保育、障がいなどに関する自己負担の合計額の上限を超えた部分が給付対象となる、総合合算制度など、立憲民主党の提案に耳を傾けないと断じました。
長妻代表代行は、2007年の「消えた年金」問題のとき、当初安倍総理は野党に対し「不安をあおるな」と議論を封じ込めようとしたが、その年の参院選挙で野党が勝ち、参院で与野党が逆転したことから問題を放置できなくなったと振り返り、その結果いまや1500万人以上、金額にして2.7兆円が戻ってきたと選挙で一票を投じることの意義を強調。今回の問題も、参院選挙で手痛い目に遭うと政府・与党は「これはまずい」と与野党での議論に応じざるを得なくなると述べ、「野党の仲間を多く当選させて年金議論のふたをこじ開ける選挙にしていこう」と呼びかけました。