枝野幸男代表は9日、長崎市の平和公園で開かれた「被爆73周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」に党代表として参列、献花を行ない原爆死没者への慰霊と恒久平和への誓いを込めて黙とうを捧げました。
原爆投下時刻の午前11時2分の黙とうの後、田上富久市長は「平和宣言」を行ないました。宣言では、昨年国連で採択された核兵器禁止条約と、その採択に大きな貢献をした核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞したことについて、「地球上の多くの人々が、核兵器のない世界の実現を求め続けている証」だと語りました。
さらに日本政府がこの条約に署名しない立場であることについて、300を超える地方議会が条約の署名と批准を求める声を上げているとして、日本政府に対し「唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く道義的責任を果たす」ことを求めました。
また、長崎の核兵器廃絶運動を長年牽引し昨年逝去された土山秀夫さんと谷口稜曄さんの発言を紹介、改めて「戦争をしない」という日本国憲法に込められた思いを次世代に引き継がなければならないと語りました。
そして、東日本大震災の東京電力福島第一原発事故による放射線の影響で苦しめ続けられている福島の方々について「復興に向け努力されている福島の皆さんを引き続き応援していきます」と述べるとともに、日本政府に対して、原爆の後障害に苦しむ被爆者のさらなる援護の充実とともに、今も被爆者と認定されていない「被爆体験者」の一日も早い救済を求めました。
式典には、国連のグテーレス事務総長が現職の事務総長として初めて参列し、スピーチでは「核兵器の完全廃絶は、国連の最も重要な軍縮の優先課題」だと語り、すべての国に対し核軍縮に全力でとり組み緊急の問題として目に見える進歩を遂げるよう呼びかけました。
そして、「長崎を核兵器による惨害で苦しんだ地球最後の場所にするよう決意しましょう」と語り、「皆さま方と共に全力を尽くしてまいります」と述べ締めくくりました。
長崎市│平成30年長崎平和宣言(宣言文)
http://www.city.nagasaki.lg.jp/heiwa/3020000/3020300/p031606.html
長崎平和祈念式典に寄せる国連事務総長演説(長崎、2018年8月9日) | 国連広報センター
http://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/29600/
またこの日の夕、原爆落下中心地である平和公園近くの浦上川では、約2,000個の灯篭を連ねた「万灯流し」が、長崎原爆殉難者慰霊奉賛会および城山連合自治会の主催、日本労働組合総連合会(連合)等の協賛で行われました。
浦上川は、原爆落下後、水を求めて多くの人が集まり亡くなっていった場所。思い思いの平和メッセージが書かれた灯篭が静かに川を流れるなか、集まった人々は、原爆犠牲者を追悼し、平和を祈りました。
この1年間に亡くなった方々を加え、長崎の原爆死没者名簿登載者数は、今年で累計17万9226名に上りました。